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労働保険に関する受給資格や申請方法などの基礎知識を紹介しています

雇用保険は制度を勘違いして思っていたよりも受け取れる金額が少なくなる人が多いです。自己都合で退職する際は雇用保険・失業保険の制度を正しく理解しておきましょう。
労災保険は会社が労災の証明に協力的かどうかが重要です。

組合の労働保険基礎知識

組合保険に加入している企業や労働組合がある企業をはじめ、所定の要件を満たす企業の従業員は労働保険に加入しないといけません。
労働保険は労災保険と雇用保険の2種類があり、労災保険は勤務中の怪我などを補償する強制加入保険、雇用保険は退職時の補償や再就職の支援をするための保険制度です。
いずれもほぼ全ての会社員が強制加入になっている公的保険ですので、基礎知識を身につけて各種制度を有効活用しましょう。

 

 

労働保険の加入基準

労働保険の加入基準

  • 1週間の所定労働時間が20時間以上
  • 31日以上の雇用見込みがある

 

この条件を満たす場合は必ず労働保険に加入しないといけません。
組合保険(健康保険)や厚生年金は従業員の人数によっては週30時間以上になるなど加入条件が変わりますが、労働保険は従業員数など会社の規模を問わず共通の加入条件が定められています。
事業規模を問わず加入条件を満たす従業員が1人でもいる事業主は、必ず労働保険の加入手続きをしないといけません。

 

 

保険料について

労災保険は会社負担率が100%で従業員の自己負担はありません。
また、労災認定を受けた場合の治療費は全額が労災から賄われ、健康保険のような自己負担金がありません。

 

雇用保険料は年度毎に変更されていて、令和5年の雇用保険料は一般事業が6/1,000。農林水産・清酒製造の事業及び建設の事業は7/1,000です。
計算式が複雑ですが、平均的な所得の会社員は月々1,000~2,500円程度の雇用保険料が平均的な相場になります。

 

健康保険(組合保険)とは違って勤務先・お住まいの地域によって保険料率が変わることはありません。
保険料が低額のため、気に留めずに払っている事業者・従業員が多いです。

 

 

各種保険金を受け取る流れ

労災保険と雇用保険の受け取る流れ
労災保険と雇用保険では、それぞれ保険料を受け取る条件や流れが異なります。
両者の違いを知っておき、必要な時に活用できるようにしておきましょう。

 

 

労災を請求する場合

勤務中の怪我や業務に関連した病気・怪我をした場合は直ちに勤務先へ報告してください。
病院などで治療を受け、補償を受ける内容に応じた申請書を作成・提出します。
それぞれ勤務先と通院先の医療機関などが労災申請書の作成をサポートしてくれます。

 

通院先の病院が労災指定医療機関等である場合は、窓口で治療費を支払う必要がありません。
労災が適用になる治療は健康保険が適用されないため、労災指定医療機関ではない所で治療を受けた場合は高額な治療費を立て替え払いすることになります。

 

申請時は勤務先が労災を証明する協力をすれば労災認定がスムーズになり、勤務先が労災の証明に協力しない場合でも申請手続きをすることで労災が認められる場合があります。
最終的には労働基準監督署が労災認定する事故や病気なのかを判断する流れです。
労災申請には時効があり、労災の内容に応じて時効になる期間は2年か5年です。
複雑な事情を抱えている場合や労災認定を巡って会社と争うことになりそうなシーンでは、専門性が高い弁護士などに相談して手続きを進めるとよいでしょう。

 

 

雇用保険を受給する流れ

雇用保険に加入していて退職後に無職の期間が一定以上あれば失業給付金を受け取れます。
雇用保険(失業給付金)を受給する流れは、勤務先から離職票を受け取ってハローワークで求職申込と離職票の提出などの手続きをします。
7日の待機期間を経て雇用保険受給説明会に参加し、失業認定日を迎える度に失業給付金を受け取れる流れです。

 

自己都合で退職した場合は、雇用保険受給説明会に参加してから3ヶ月は給付制限のため基本手当が支給されません。
そのため、多くの人が雇用保険を受給せずに転職しています。
脱サラして起業する人は、雇用保険を受給しながら起業の準備を進めるケースが多いです。

 

 

事前確認の重要性

雇用保険受給は事前確認を
雇用保険を受給するには、離職する前の2年のうち12ヶ月以上は雇用保険に加入しておく必要があります。
自己都合の退職だと3ヶ月の給付制限があり、会社都合の退職を含めて給料の全額が補償されるわけではありません。

 

制度を勘違いして退職しても雇用保険を受給できない事や思っていたより受給額が少ない、最初の受給日までの生活費をショートさせてしまうなどのトラブルが散見されます。
自己都合で退職して雇用保険(失業給付金)を受給しようとしている方は、事前に制度を正しく理解して計画的な転職・再就職のプラン作りをしてください。
勤務先の倒産やリストラなど会社都合の退職は補償が手厚くなるので、退職後はすぐにハローワークなどで手続きを進めましょう。